組織開発の3つのステップ|組織開発探究シリーズ③

組織開発探究シリーズ第3回のテーマは「組織開発の3つのステップ」です。

今回の記事を書くに当たり、「組織開発の探究」という本を参考にさせていただきました📖

こちらの本は、3部構成となっていて、「第1部:初級編」ではとてもわかりやすい表現で組織開発の概略についての紹介があり、「第2部、第3部:プロフェッショナル編」では組織開発の理論・歴史・思想などについてのディープな内容となっています。

今回の記事では、「第1部:初級編」で紹介されている、組織開発の基本的な進め方について紹介していきたいと思います。

組織開発の3つのステップ

組織開発にはさまざまな手法がありますが、どんな手法にも共通する「3つのステップ」があります。

それが「組織開発の3つのステップ」です。

ステップ①:見える化
ステップ②:ガチ対話
ステップ③:未来づくり

図にまとめたものがこちらです👇

とてもシンプルですね^^

それでは、それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。

ステップ①:見える化

「見える化」とは、自分のチームや組織の課題を可視化、目に見える形にすることです。組織課題を見える化する方法には、質問紙調査やヒアリング、対話を行うなど、さまざまな方法があります。組織の課題の多くは、日常的に「目にすること」ができないか、あるいは、多くの人々は「意識」をしていないものです。このように隠れているものを「顕在化」するのが「見える化」です。

出典:組織開発の探究

ステップ①「見える化」では、下図の氷山モデルでいうと、水面より上にあって普段から目に見えやすい「問題事象(氷の塊の上の部分)」だけではなく、普段は水面に隠れてなかなか目にすることができない「チームの抱える隠された真因(氷の塊の下の部分)」に目を向けて、可視化することが重要です。

今、組織やチームの課題として、すでに顕在化している「問題事象」の背後には、より大きな「チームの抱える隠された真因」が隠されているものです。

たとえば、ある職場で、「会議中にまったく発言が出ない」という状況があったとします。

この状況での「問題事象」は「会議中に誰も発言しない」ということです。

ここで、「問題事象」の裏にある「チームの抱える隠された真因」に目を向けずに、解決策だけを考えると、たとえば「発言する順番を決めて、全員が必ず発言するルールにしよう」というものが出てくるかもしれません。

この解決策では、表面的に「全員が発言する」という状況は生まれても、チームが抱えている根本的な原因は隠されたままのため、本質的な解決にはなりません。

それでは、この「問題事象」の裏にある「チームの抱える隠された真因」は何でしょうか?

アンケート調査や対話をした結果、たとえば、「リーダーが高圧的で発言しづらい」「メンバーの多くが集まって話し合うことに価値を感じていない」「そもそもメンバー間の信頼関係がない」というような「チームの抱える隠された真因」が見えてくるかもしれません。

このように、普段は目に見えにくい「チームの抱える隠された真因」を見える形にするのが、「見える化」のステップです。

ステップ②:ガチ対話

見える化した組織課題に、しっかりとみんなで向き合い、その問題の解決や解消を目指して話し合うということが「ガチ対話」です。組織の課題は、一般に「できれば向き合いたくなかったような、抜き差しならない課題」です。そのような課題に、腹をくくって向き合い、みんなで対話することが重要です。

ここでの対話とは、「お互いの意識や認識のズレ」を表出させることです。それぞれが自分の意見を、相手の眼前に落とし、お互いの「違い」を把握します。この段階では、無理をして、1つの意見に集約したり、意思決定はしなくても結構です。腹をくくって、違いをあぶり出すことが、真剣勝負のガチ対話になります。

出典:組織開発の探究

ステップ②「ガチ対話」では、“違いを理解するためのコミュニケーション”である「対話」を行い、それぞれの「意見のズレ」に気づき、「新たな視座」を得ることを目指します。

また、「組織開発の探究」の中では、本気で組織開発をしようとするときに、何より大切なことは「腹をくくること」であるというメッセージがあります。

日頃は話されていなかった本音を真剣に伝え合う際には、普段以上のエネルギーを使い、時には痛みを伴うこともあるかと思いますが、自分たちのチームのこれからをつくっていくためにも、全員で真剣に現状に向き合うことが大切です。

ステップ③:未来づくり

「お互いの意識や認識のズレ」がガチ対話で明らかになったところで、そのままにしていては、組織としてのまとまりはできません。どこかで、組織として、チームとして、1つの合意をつくる必要があります。

未来づくりとは、これから自分たちの組織、あるいはチームをどうしていくのか、どうしたいのかを当事者たちが「自分事」として決めていくものです。

出典:組織開発の探究

ステップ②「ガチ対話」では、“違いを理解するためのコミュニケーション”である「対話」を行いましたが、ステップ③「未来づくり」では、“決めるためのコミュニケーション”である「議論」を行います。

未来づくりとは、メンバー同士で議論を尽くして、「ビジョンを決めて共有すること」です。

具体的には、メンバー全員の頭の中に「自分たちの組織(チーム)の未来像」のイメージが共有されている状態を目指します。

以上が、「組織開発の3つのステップ」ですが、いかがでしたしょうか?

組織開発の哲学的な基盤

ここまで取り上げてきた、「組織開発の探究」の「第1部:初級編」で紹介されている「組織開発の3つのステップ」は、はじめて組織開発を学ぶ方にもわかりやすいようにという意図で平易な言葉で表現されたものです。

しかし、「第2部、第3部:プロフェッショナル編」を読み進めると、このシンプルな「組織開発の3つのステップ」の背景には、さまざまな哲学や思想などのベースがあることがわかります。

具体的には、組織開発の哲学的・思想的基盤として、「ジクムント・フロイト」「エドムント・フッサール」「ジョン・デューイ」の3人の考え方について紹介されています。

ここでは、ざっくりと、それぞれの考え方と「組織開発の3つのステップ」のつながりについて紹介したいと思います。

ジクムント・フロイト(Sigmund Freud / 1856〜1939年)
オーストリアの精神分析学者、精神科医である「フロイト」は、医療者が患者との対話を通して、普段はなかなか意識できない、患者の「無意識」の領域にある「抑圧」を言葉にし、意識の上に上げていくことで、精神病理は治療されるという「精神分析」を提唱しました。

組織開発でいうと、普段は全員の意識にのぼっていない、組織(チーム)の「抑圧」されたものを対話を通じて「見える化(顕在化)」させ、全員で意識化し合うことが重要である、といえます。

エドムント・フッサール(Edmund G. A. Husserl / 1859〜1938年)
オーストリアの哲学者、数学者である「フッサール」は、「現象学」と呼ばれる哲学理論を創始し、「今-ここ(here and now)で意識にのぼってくるもの」を重視するという価値観、つまり、「現在、起こっている出来事に意識を当て、考えていくこと」を重視しました。

「今-ここ(here and now)」「主観的」という価値観を重視し、これらと対照的な価値観は、「あのとき、あそこで(there and then)」「客観的」です。

組織開発でいうと、「今-ここ」の瞬間に、組織のメンバーが経験していること(組織の状態やメンバーの関係など)にスポットライトを当てて、現状を「見える化」し、「今-ここ」の瞬間で自分が思っていることを相互に話し合ってみる、「ガチ対話」していく、といえます。

ジョン・デューイ(John Dewey / 1859〜1952年)
プラグマティズムを代表する、アメリカの哲学者、教育思想家である「デューイ」は、人間と社会のありようについてさまざまな知的思索を行い、人文社会科学、哲学、教育学に対して多大なる知的貢献を行いました。

デューイの「経験学習(Experiential Learning)」の考え方のひとつに、「人は経験に対するリフレクション(内省)を通して、知を形成することができる」という考え方があります。

上記の考え方は、デューイのこの言葉に集約されています。

We don’t learn from experience. We learn from reflecting on our experience.  −John Dewey

「私たちは経験から(直接)学ぶのではない。経験を内省するときに学ぶのだ。」というメッセージです。

ちなみに、この「経験と内省(振り返り)」を通して学ぶという考え方をもとに、組織行動学者のディヴィッド・コルブがまとめたものが「経験学習サイクル」です。

組織開発でいうと、組織が経験した出来事を対象として、現状の組織(チーム)のあり方を「見える化」し、それらについて振り返りを行うことで学んでいく、といえます。

「経験学習」は、FLYHIGHの強みであり、”色”として大切にしていますので、ジョン・デューイなど、経験学習に関連する哲学や思想については、また改めて掘り下げてみたいと思います!

以上、組織開発探究シリーズの第3回「組織開発の3つのステップ」でしたが、いかがでしたでしょうか?

今後はいくつかの具体的な組織開発の手法も紹介していきたいと思います。

その時にも、組織開発の基本的な進め方は、今回紹介した「3つのステップ」だとシンプルに理解しておくと、さまざまな手法に触れることで、頭の整理がつかないときにも、立ち戻ることができる基本になるかと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

FLYHIGH Lab.
代表  小田桐 翔大